GRAM

2008/02/06

capsule // FLASH BACK

昨年末発売のcapsuleの最新作『FLASH BACK』について。
このアルバムに関して最初に言っておけば、capsuleファンであっても好き嫌いの分かれるアルバムだと思う。

1. construction
2. FLASH BACK
3. Eternity
4. You are the reason
5. Love Me
6. I'm Feeling You
7. MUSiXXX
8. Get down
9. Electric light Moon light

中田ヤスタカと言えばこのところは非常に注目されているアーティストで、PerfumeのプロデュースCOLTEMONIKHAというユニット、m-flo loves MINMIのリミックスなど、とにかく幅広く活動していることで知られている。その中でcapsuleはメインユニットだと言って間違いないだろう。

capsuleはやや実験的な音作りをするユニットであるとも言える。以前はピコピコサウンドにも近いキュートなテクノポップであったが、Sugarless GiRLではハードテクノ、トランスにも似た太いベースを多用した音作りを披露し、capsule rmxではクラブサウンドとも言うべきグルーヴ重視の昂揚感が高い音作りを行っている。


前置きが随分長くなったが、本作の音作りもその傾向から外れていない"爆音で聴くようなクラブサウンド"だ。加えて、テクノらしさ、繰り返しの妙も今作が最も強いように思う。それに加え、本作では"古臭さ"が顔を覗かせている。このアルバムを聴いていると80年代のテクノ、"ディスコ"といった単語を思い浮かべてしまう。これがタイトルの意味なのだろうか?とにかく、昔のアルバムが好きなファンには受け入れられないだろうなー なんて心配をしてしまう音楽だ。

このアルバムを聴いているとdaft punkを彷彿させることも多い。考えてみれば、共通点も多いのだ。ヴォーカルへの多量のエフェクト、パンク的なディストーション、メロディよりリフを重視する曲作り、音から漂う懐かしい感触。この音作りをするようになったのはここ数作なので、昔からのファンが苦手とするのも納得はいく。正直、このアルバムはメロディを重視しているとは言い難く、ポップが好きな人には寂しい作品である。キラーチューンといえる曲も無いと言って良いだろう。

このような理由から、昔からのファンでも苦手な人は苦手なアルバムなのだ。


ただ、このような音楽もライヴで聴けば印象が様変わりする。僕はこのアルバムのリリースパーティと称するライブに行ってきたが、そこで映えるのは、やはりこのアルバムのようなクラブサウンドなのだ。テクノパンク的なディストーションサウンドがフロアを揺らし、リスナを一気に昂揚させてしまう。これはポップな音楽ではなかなかできない芸当だ。大音量でこのアルバムを聴けば、脳髄を揺らす昂揚感を味わうことが出来る。それはグイグイとベースのグルーヴで引っ張るこのアルバムのような作りの音楽ならではの体験だ。

私見ではあるが、中田ヤスタカはそれぞれのユニットを差別化しているのだろうと考えている。ライヴ向きのクラブサウンドのcapsule、キュートなテクノポップのCOLTEMONICHA、歌を重視するPerfume、といった具合に。ただ、このような見解さえも次のアルバムで打ち壊してしまうような予感がするのが、capsuleの面白さだと思う。


正直に言えば、『L.D.K.』『FRUITS CLiPPER』が好きな人がこのアルバムを買ってもがっかりすると思う。このアルバムの音楽は、そういった方向のものではない。しかし、近年のcapsuleの作品や、テクノが好きな人にはお勧めしておきたい。また、中田ヤスタカが好きであるならば、世界観を広げるという意味で良いアルバムだ。

最後に、このアルバムを買って、求めていた音と違ったと感じた人に、繰り返し何度も聴くことをお勧めしておく。良いアルバムは、何度も聴くことに耐え、そして聴き込むほどに新発見をもたらしてくれる。そして、昔からのファンにはこのアルバムの中でも「Eternity」をお勧めしておく。この曲は今のcapsuleと昔のcapsuleの良さを併せ持つ一曲だ。

0 件のコメント: