発売から随分経ってしまったが、英国産のヘヴィメタルバンドBullet For My Valentineの2作目『Scream Aim Fire』について。彼らは日本にもサマソニで来ていたので、メタルバンドとは言えメジャーに近い存在だ。知っている人もいるんじゃないだろうか。
彼らの特徴はやはり、IRON MAIDENにも例えられるカッコいいリフにあるだろう。今やオールドスタイルとも言えるようなリフをツインギターが刻む彼らの音楽には、拳を突き上げたくなるような昂揚感が存在している。ツインギターの熱いリフ+スクリームを混ぜて歌うヴォーカルと言うスタイルは、このジャンルを聴かない人には勿論のこと、このジャンルを聴き慣れた人にとっても新鮮だろう。
本作は前作に比べるとキャッチーなメロディが増加しており、ヴォーカルラインも万人好みの物になっているように感じられる。特に「Hearts Burst Into Fire」「Deliver Us From Evil」は、完全なまでにキャッチーで万人向けな音楽だ。商業的な音楽になったという捉え方も出来るが、しかしこれは順当な進化だと言えよう。前回の"ギターはカッコいいけどサビがつまらない"という印象を払拭しており、安心して何度も聴けるような品質になった良作だ。無論、演奏に関しては相変わらず非常に高いレベルの物であり、文句を付ける部分もない。
個人的に本作のお気に入りは「Take It Out On Me」だ。グッと心を掴む"キラーリフ"で幕を開けるこの曲は、ヴァースからブリッジ、コーラス、どれをとってもキャッチーでありながら、非常にカッコいいギターサウンドが全編を貫いている。俺がBullet For My Valentineに惚れたのも、この曲のような反則的にカッコいいリフを聴いたからだった。この曲を聴いて俺同様に惚れてしまう人もいるんじゃないだろうか?
彼らの前作は激しすぎて万人にお勧めできなかったが、本作は安心して万人にお勧めが出来る。たった2作しか出していないバンドに使う言葉ではないが、これは彼らの最高傑作だ。"彼らがちょっと気になっているんだけど"って人には、このアルバムから入るのがお勧めだ。
余談であるが、このアルバムは現在(2008/4/12)なら特別価格で2000円程度で売っている。この機に買うのはお勧めだ。2000円以上に楽しめるアルバムだ。
2008/04/12
Bullet For My Valentine // Scream Aim Fire
2008/04/09
IN FLAMES // A Sense of Purpose
今、全世界的に人気となっているIN FLAMES。その9作目のアルバム『A Sense of Purpose』が発売された。発売日をすっかり忘れていて購入も、そしてレビューも遅れてしまったが、今更ながら書き連ねておこうと思う。
最初に言っておくと、この作品は好き嫌いが分かれるだろう。
前作『Come Clarity』は、誰の耳にも傑作として聴こえたはずだ。圧倒的な歌唱力と演奏力、そしてリスナをグッと引き込む音楽世界が展開されていた。キラーチューンもアルバム中に幾つか散りばめられており、それを聴くだけでも価値のあるアルバムだった。
本作はそれに比べると、キラーチューン不在という感が否めない。確かにIn Flemesサウンド全開の「The Mirror's Truth」や、昔のようにピュアメタルばりのメロディアスなリフで幕を開ける「I'm the Highway」「Sober and Irrelevant」日本版ボーナストラックの「Abnegation」などは、そんじょそこらのメロディック・デスでは辿り着けない境地に達している音楽に違いないだろう。しかし、キラーチューンか?と訊かれると、少なくとも彼らの過去のキラーチューンと比較した場合に、Noと言いたくなる。
恐らく今回は、"スクリームスタイルでキャッチーなヴォーカルラインを歌う"という、新しい手法にチャレンジしていることが裏目に出ているように思う。確かにスクリームのヴァース+クリーンのコーラスというSoilwork的展開には飽き飽きしている人も多いだろう。だが、今作の方法では双方のどっちつかず、中途半端感が漂ってしまっている。確かに、この手法がハマる曲も存在はしている。「The Chosen Pessimist」は、エフェクトに使われているノイズもあわせて、慟哭と表現するのが相応しいパワーバラードに仕上がっている。このような終末的な曲には、このスタイルはピッタリだ。だが、疾走曲では中途半端に聞こえてしまう。
・・・と言う風に、否定的な紹介から入ったこのアルバムのレビューだが、実際のところは"さすがIn Flames"と思っていることはしっかり伝えておこう。
彼らは全ての曲で一貫して、ピュアメタル的な優れたリフとモダンなグルーヴ感を高いレベルで組み合わせている。これは『Soundtrack to Your Escape』以来ずっと続くメロディックデスの境地であり、彼らを世界市場で売れるバンドへと押し上げ、多量のフォロワーを生み出している音楽スタイルだ。非常に繊細に、そして激しく練り上げられている音楽は、いつ何時何度聴いても飽きが来ない完成度を誇っている。
アコースティックギターで幕を開け激しい疾走曲へと展開する「Sleepless Again」は、In Flamesにしかできない音楽世界の代表曲だ。このアルバムではこんな"In Flamesにしかできない音楽"がたくさん詰め込まれており、疾走曲の割合も多い。キラーチューンを100点満点中の95点以上とするなら、このアルバムの曲はどれも80点以上をコンスタントにマークしているような印象だ。
というわけで、このアルバムは微妙だといいながらも、俺は買って後悔は一切無いし、人にお勧めも出来ると感じている。無論、ファンであれば是非買って欲しい。(言われなくても買っているかw) In Flamesはこの9作の間、常に進化を続けている。だからこそ新作には過度の期待をするし、高い理想を描いている。このクオリティの作品に対して微妙という感想を言うあたりに、俺が彼らを特別視しているってのが垣間見えるんじゃないだろうか。
Acid Black Cherry // BLACK LIST
発売から随分経ってしまったが、Janne Da ArcのヴォーカルyasuのソロプロジェクトAcid Black Cherryの1stフルアルバム『BLACK LIST』について。
このバンドはyasuのソロプロジェクトという位置付けではあるが、基本的にはJanne Da Arcをよりヘヴィでラフにしたという音作りだ。そもそも彼はJanne Da Arcのメインのソングライターであるから当然と言えば当然なんだが。インディーズ時代のJanne Da Arcの音楽という評され方もされているが、音作りはJanne Da Arcの『ARCADIA』に似た印象を受ける。つまり、セルフプロデュースのジャンヌ作品と同質の音楽だということだ。また、聴きようによってはネオビジュアルのバンドのような、激しさというか若々しさというか安っぽさというか、ともかくセルフプロデュース!って印象を受ける音作りがされている。
曲は相変わらず、バラエティに富んでいて聴き応えがある。Janne Da Arcの十八番的なメロディアスなハードロック「少女の祈り」や、激しいリフを刻む「SPELL MAGIC」、「Dry?」「BLACK JACK」のようなジャズロック「BLACK CHERRY」にふざけた調子の「Bit Stupid」、ヴォーカルにエフェクト掛けまくりのハードロック「Murder Licence」にバラード「Prologue End」など、お腹いっぱいだ。
メロディラインはyasuらしいキャッチーなものであり、ヴォーカルの巧さは言うまでもない。個々の楽曲の力不足(音質、アレンジ不足、歌詞の推敲不足など)を指摘すればキリはないが、それでもソロでこのクオリティを出す辺りは流石としか言いようがない。ジャンヌ名義で出す予定だった曲もあるのではないだろうか、と思ってしまう充実ぶりだ。正直、Acid Black Cherryのやっている音楽は、近年のメジャー化してしまったJanne Da Arcの曲より面白みがあり、聴き応えがある。このくらいJanne Da Arcも激しくやって良いのではないだろうか。
というわけで、まだ買ってないJanne Da Arcファンには安心してお勧めできる一枚だ。

