日本の若手実力派JazzバンドPE'Zと、オルタナティブフォークのsuzumokuのコラボユニット。先に言っておくが、この作品はミニアルバムながら傑作と呼べる出来だ。
1. ギャロップ (アニメ「BLEACH」EDテーマ)
2. 流星群 (マツモトキヨシ CM)
3. 密室
4. Nica's Dream
5. 盲者の旅路 (Re-constructed by pe'zmoku)
PE'Zに関してはもう言うまでもないだろう。Jazzだけではなく、ロックやラテンなど様々な音楽を取り込む独自のスタイルで人気を集めているインストゥルメンタル・アーティストだ。キーボードのヒイズミマサユ機は東京事変の初期メンバということでも有名だろう。
一方で、suzumokuというアーティストに関しては正直全く聞いたことがないことだろう。オフィシャルの情報によれば、ストリートで長年歌い続けた後に07年頃にデビューしたアーティストらしい。デビュー間もないこともあり、本当にマイナーなアーティストだと言えよう。
この2つのアーティストが生み出す音楽は、実に熱気に満ちている。
suzumokuの歌は、「巧い」歌い方というよりも「聴かせる」歌い方だ。殆ど地声のままで幅広い音域を出し、確かな発音で歌詞を伝えてくれる。この歌い方そのものでは万人の心を掴むに物足りなさを感じるのだが、PE'Zと組むことでその印象がガラリと変わる。
PE'Zの熱いパフォーマンスを背に歌う彼の声は、ライブのような激しい演奏にも負けずにリスナの胸に響き、更には周りの演奏を引き立てる役割を果たしている。スタジオ録音のアルバムのはずなのに、ライブのような一体感と勢いと熱さを感じる楽曲となっているのだ。
一度、「ギャロップ」「盲者の旅路」の2曲は聴いてもらいたい。素晴らしいメロディと圧倒的な演奏、聴かせる歌詞。理想的な音楽の形だ。
このユニットには本当に期待している。ミニアルバムだけでなく、フルアルバムも。そしてその次のアルバムも、と、もっともっと新作を聴きたくなる中毒性を持っている稀なアーティストだ。
pe'zmokuオフィシャルサイト
2008/07/15
pe'zmoku // ギャロップ
2008/05/11
UNCHAIN // rapture
購入から随分経ってしまったが、UNCHAINという新人のデビューアルバム『rapture』がなかなか良い。
1. Signs Of Spring
2. Let Me Be The One
3. Don't Need Your Love
4. Precious
5. Light Your Shadow
6. Mother Earth
7. Life Is Wonder
8. You Over You
9. Show Me Your Heught
10. Always Shining
11. Quarter
12. make it glow
13. Dear My Friend
14. Rapture
avexからデビューとなる彼らは、96年に京都で結成され、大阪中心でライブを繰り返してきたバンドらしい。『rapture』と名付けられたこのアルバムで繰り広げられる音楽はジャズを取り入れたロックであり、帯ではグルーヴロックなどと表現されている。そのネーミングの通り、彼らの音楽はベースとドラムのグルーブ感に溢れ、聴いていて非常に心地よい。全編英語で歌うのも潔く、日本人バンドでありながら、カフェで流れているBGMのようなお洒落さが漂っている。曲調も明るい曲が多く、試聴したときにはJAMIROQUAIをロックに移行したような印象を受け、ついつい買ってしまったのを記憶している。
このアルバムでの私のお気に入りは「Always Shining」だ。キャッチーなリフに疾走するベースとドラム、ファルセットを効果的に使うヴォーカルと、ポップスとしてもロックとしても優秀な一曲だ。個人的には、彼らにはしっとりした曲よりも、このような陽気で疾走感に満ちた音楽をどんどんやってもらいたい。全曲解説と試聴はこちらでできるので、一度聴いてみてもらいたい。
このアルバムで、私は彼らを非常に気に入ってしまった。しかし、デビューでここまで高いクオリティだと、2作目が不安になってしまうのも事実。次の作品でも高いクオリティを発揮して、実力が本物であることを示してもらいたい。
UNCHAIN オフィシャルサイト
2008/05/10
Story of the Year // The Black Swan
デビュー以来、圧倒的な演奏力と作曲能力で世界を席巻してきたStory of the Yearの3作目『The Black Swan』が発売された。今作は名門エピタフ・レコードからの発売ともあり、注目度の高いアルバムである。
1. Choose Your Fate
2. Wake Up
3. The Antidote
4. Tell Me
5. Angel In The Swamp
6. The Black Swan
7. Message To The World
8. Apathy Is A Deathwish
9. We're Not Gonna Make It
10. Cannonball
11. Terrified
12. The Pale Blue Dot
13. Welcome To Our New War
14. Never Let It Go
15. The Truth Shall Set Me Free
16. The Virus
17. Turn Up The Radio
18. Save One
本作の特徴は、プログレのような曲作りをしていることにあるだろう。ハードロック色を押し出しシンプルに構成された前作に比べると、本作は次々とリズムを変え、リフを変え、複雑な曲を構成している。1stで見せた叙情性も本作では戻っており、1stのファンには嬉しい曲調だろう。彼らの歌詞は元々社会風刺的な物が多く、メッセージ性の強い物が多い。それに加えて本作では1曲の中で様々な場面が繰り広げられるため、メッセージ性はこれまでよりずっと強い物となっている。純粋なロックには違いないが、音楽はより力強く崇高な物になっている。
したがって、本作は音楽としての質は過去最高と呼べるだろう。しかし、前作のようなわかりやすいスクリーモを聴きたい人間にとっては、このアルバムは複雑すぎると言わざるを得ない。
この変化は、良いことと悪いことのどちらで捉えるべきか難しい変化だ。私の場合、彼らの音楽で惚れ込んでいるのは2ndの"シンプルでテクニカルなハードロック"であり、ここまで複雑な音楽は求めていない。1曲リピートをしたくなるようなキャッチーな曲がないのはこのアルバムの欠点といえるだろう。しかし、このアルバムの「Choose Your Fate」「The Antidote」「The Black Swan」「Pale Blue Dot~Welcome to Our New War」といった曲を聴くと、複雑さが生み出すメッセージ性を強く感じ、惚れ惚れしてしまう。テクニックも本作の方が存分に発揮されているし、歌詞に惚れている人にはこのアルバムは素晴らしいと感じられる事だろう。
ともかく、SOTYにとって一段階踏み込んだアルバムである事は間違いない。私の場合、前作に比べてしまえばイマイチなアルバムであるのだが、純粋に本作のみを評価すれば素晴らしいアルバムである。これだけテクニカルで、強いメッセージを曲に込められるバンドも少ない。心から傑作と言えるアルバムを次回に期待してしまう。
Story of the Year オフィシャルサイト
2008/04/12
Bullet For My Valentine // Scream Aim Fire
発売から随分経ってしまったが、英国産のヘヴィメタルバンドBullet For My Valentineの2作目『Scream Aim Fire』について。彼らは日本にもサマソニで来ていたので、メタルバンドとは言えメジャーに近い存在だ。知っている人もいるんじゃないだろうか。
彼らの特徴はやはり、IRON MAIDENにも例えられるカッコいいリフにあるだろう。今やオールドスタイルとも言えるようなリフをツインギターが刻む彼らの音楽には、拳を突き上げたくなるような昂揚感が存在している。ツインギターの熱いリフ+スクリームを混ぜて歌うヴォーカルと言うスタイルは、このジャンルを聴かない人には勿論のこと、このジャンルを聴き慣れた人にとっても新鮮だろう。
本作は前作に比べるとキャッチーなメロディが増加しており、ヴォーカルラインも万人好みの物になっているように感じられる。特に「Hearts Burst Into Fire」「Deliver Us From Evil」は、完全なまでにキャッチーで万人向けな音楽だ。商業的な音楽になったという捉え方も出来るが、しかしこれは順当な進化だと言えよう。前回の"ギターはカッコいいけどサビがつまらない"という印象を払拭しており、安心して何度も聴けるような品質になった良作だ。無論、演奏に関しては相変わらず非常に高いレベルの物であり、文句を付ける部分もない。
個人的に本作のお気に入りは「Take It Out On Me」だ。グッと心を掴む"キラーリフ"で幕を開けるこの曲は、ヴァースからブリッジ、コーラス、どれをとってもキャッチーでありながら、非常にカッコいいギターサウンドが全編を貫いている。俺がBullet For My Valentineに惚れたのも、この曲のような反則的にカッコいいリフを聴いたからだった。この曲を聴いて俺同様に惚れてしまう人もいるんじゃないだろうか?
彼らの前作は激しすぎて万人にお勧めできなかったが、本作は安心して万人にお勧めが出来る。たった2作しか出していないバンドに使う言葉ではないが、これは彼らの最高傑作だ。"彼らがちょっと気になっているんだけど"って人には、このアルバムから入るのがお勧めだ。
余談であるが、このアルバムは現在(2008/4/12)なら特別価格で2000円程度で売っている。この機に買うのはお勧めだ。2000円以上に楽しめるアルバムだ。
2008/04/09
IN FLAMES // A Sense of Purpose
今、全世界的に人気となっているIN FLAMES。その9作目のアルバム『A Sense of Purpose』が発売された。発売日をすっかり忘れていて購入も、そしてレビューも遅れてしまったが、今更ながら書き連ねておこうと思う。
最初に言っておくと、この作品は好き嫌いが分かれるだろう。
前作『Come Clarity』は、誰の耳にも傑作として聴こえたはずだ。圧倒的な歌唱力と演奏力、そしてリスナをグッと引き込む音楽世界が展開されていた。キラーチューンもアルバム中に幾つか散りばめられており、それを聴くだけでも価値のあるアルバムだった。
本作はそれに比べると、キラーチューン不在という感が否めない。確かにIn Flemesサウンド全開の「The Mirror's Truth」や、昔のようにピュアメタルばりのメロディアスなリフで幕を開ける「I'm the Highway」「Sober and Irrelevant」日本版ボーナストラックの「Abnegation」などは、そんじょそこらのメロディック・デスでは辿り着けない境地に達している音楽に違いないだろう。しかし、キラーチューンか?と訊かれると、少なくとも彼らの過去のキラーチューンと比較した場合に、Noと言いたくなる。
恐らく今回は、"スクリームスタイルでキャッチーなヴォーカルラインを歌う"という、新しい手法にチャレンジしていることが裏目に出ているように思う。確かにスクリームのヴァース+クリーンのコーラスというSoilwork的展開には飽き飽きしている人も多いだろう。だが、今作の方法では双方のどっちつかず、中途半端感が漂ってしまっている。確かに、この手法がハマる曲も存在はしている。「The Chosen Pessimist」は、エフェクトに使われているノイズもあわせて、慟哭と表現するのが相応しいパワーバラードに仕上がっている。このような終末的な曲には、このスタイルはピッタリだ。だが、疾走曲では中途半端に聞こえてしまう。
・・・と言う風に、否定的な紹介から入ったこのアルバムのレビューだが、実際のところは"さすがIn Flames"と思っていることはしっかり伝えておこう。
彼らは全ての曲で一貫して、ピュアメタル的な優れたリフとモダンなグルーヴ感を高いレベルで組み合わせている。これは『Soundtrack to Your Escape』以来ずっと続くメロディックデスの境地であり、彼らを世界市場で売れるバンドへと押し上げ、多量のフォロワーを生み出している音楽スタイルだ。非常に繊細に、そして激しく練り上げられている音楽は、いつ何時何度聴いても飽きが来ない完成度を誇っている。
アコースティックギターで幕を開け激しい疾走曲へと展開する「Sleepless Again」は、In Flamesにしかできない音楽世界の代表曲だ。このアルバムではこんな"In Flamesにしかできない音楽"がたくさん詰め込まれており、疾走曲の割合も多い。キラーチューンを100点満点中の95点以上とするなら、このアルバムの曲はどれも80点以上をコンスタントにマークしているような印象だ。
というわけで、このアルバムは微妙だといいながらも、俺は買って後悔は一切無いし、人にお勧めも出来ると感じている。無論、ファンであれば是非買って欲しい。(言われなくても買っているかw) In Flamesはこの9作の間、常に進化を続けている。だからこそ新作には過度の期待をするし、高い理想を描いている。このクオリティの作品に対して微妙という感想を言うあたりに、俺が彼らを特別視しているってのが垣間見えるんじゃないだろうか。
Acid Black Cherry // BLACK LIST
発売から随分経ってしまったが、Janne Da ArcのヴォーカルyasuのソロプロジェクトAcid Black Cherryの1stフルアルバム『BLACK LIST』について。
このバンドはyasuのソロプロジェクトという位置付けではあるが、基本的にはJanne Da Arcをよりヘヴィでラフにしたという音作りだ。そもそも彼はJanne Da Arcのメインのソングライターであるから当然と言えば当然なんだが。インディーズ時代のJanne Da Arcの音楽という評され方もされているが、音作りはJanne Da Arcの『ARCADIA』に似た印象を受ける。つまり、セルフプロデュースのジャンヌ作品と同質の音楽だということだ。また、聴きようによってはネオビジュアルのバンドのような、激しさというか若々しさというか安っぽさというか、ともかくセルフプロデュース!って印象を受ける音作りがされている。
曲は相変わらず、バラエティに富んでいて聴き応えがある。Janne Da Arcの十八番的なメロディアスなハードロック「少女の祈り」や、激しいリフを刻む「SPELL MAGIC」、「Dry?」「BLACK JACK」のようなジャズロック「BLACK CHERRY」にふざけた調子の「Bit Stupid」、ヴォーカルにエフェクト掛けまくりのハードロック「Murder Licence」にバラード「Prologue End」など、お腹いっぱいだ。
メロディラインはyasuらしいキャッチーなものであり、ヴォーカルの巧さは言うまでもない。個々の楽曲の力不足(音質、アレンジ不足、歌詞の推敲不足など)を指摘すればキリはないが、それでもソロでこのクオリティを出す辺りは流石としか言いようがない。ジャンヌ名義で出す予定だった曲もあるのではないだろうか、と思ってしまう充実ぶりだ。正直、Acid Black Cherryのやっている音楽は、近年のメジャー化してしまったJanne Da Arcの曲より面白みがあり、聴き応えがある。このくらいJanne Da Arcも激しくやって良いのではないだろうか。
というわけで、まだ買ってないJanne Da Arcファンには安心してお勧めできる一枚だ。
2008/02/21
Royal Hunt // Collision Course...Paradox 2
Royal Huntの新作『Collision Course...Paradox 2』が発売された。発売前情報はこちら。
単刀直入に言えば、傑作だ。
本作はその名前からもわかるとおり、名作と言われた『Paradox』の続編に当たる作品だ。オープニングの雨の中のイントロを聴けば、前作を知るファンは鳥肌すら立つことだろう。ただし、本作はところどころに『Paradox』を匂わせているものの、厳密な続編と言うよりはコンセプトを"引き継いだ"作品であり、『Paradox』を知らずとも成り立つ作品である。そもそもジャケットでは"Collision Course"としか記述されていない。『Paradox』はキリスト教に疑問を投げかける作品であったが、『Collision Course』はキリスト教とイスラム教の衝突を憂う内容と読むことができる。まさに「避けられない衝突」なわけだ。
本作の特徴は、シンフォニックでコンセプチュアルでアルバム全曲で一つの大曲のような作風にある。その構築美は流石としか言うことが出来ず、途中で再生を止めることすら躊躇してしまうような怒濤の展開である。音の作りに関しても、やや未来的だった『The Mission』とも、荒々しさを出した『Paper Blood』とも違う、緻密なまでの構成、ゴシックで薄暗い雰囲気(悪い意味ではない)のものとなっている。この音作り、この作風は、まさに『Paradox』前後の作品を彷彿とさせるものであり、原点回帰という意味で歓迎するファンも多いことだろう。
本作のハイライトは2曲目の「The First Rock」だろう。まるで『Paradox』の「Tearing Down The World」のように序章を歌い上げるこの曲は、圧倒的なまでの美しさと激しさを持った疾走曲だ。間奏からアウトロに掛けては、近年のRoyal Huntでは珍しいほど過剰に扇情し、これでもかと言うほど圧倒的な演奏力と歌唱力を聴かせてくれる。
また、「It's Over」と同じイントロで幕を開ける4曲目「Divide And Reign」も大きなインパクトを持った曲だ。タイトなドラムのリズムを活かした本作で最も激しい曲であり、続くパワーバラードの「High Noon At The Battlefield」を更に引き立てる役割を果たし、直後の疾走曲「The Clan」へと昂揚感を繋いでくれる。このように、このアルバムは楽曲が連続し互いを高めあう構成になっている。まさに過去のRoyal Huntの手法そのものであり、繰り返し繰り返し聴く度に発見をもたらす素晴らしい展開である。
本作の話題の中心にあるのは、『Paradox』の続編ということの他、John Westの代わりのヴォーカルとしてMark Boalsが加入したことなのは間違いない。Mark Boalsと言えばこの世界では凄腕(凄喉?)で知られたシンガーであり、人気の面でも抜きん出たものがあるシンガーだ。実力面は心配する余地がないが、Royal Huntでどのようにその声を活かしているのか気にしている人も多いのではないだろうか。
聴いてからの感想を言えば、圧巻だ。
彼はとにかく声域が広く、超音波のような高音からブルージーな低音まで巧みに表現している。その表現力を引き出しているAndersenの手腕も相変わらず見事だ。過去のRoyal Huntのヴォーカルと比べても、そしてロック界においても、間違いなくトップクラスの表現力をこの作品で見せている。某誌のAndersenのインタビューによれば「(Boalsは)無理そうなメロディも難なくこなしてしまう」らしく、もしかしたらAndersenのイメージを現実化できると言う点では過去最高のヴォーカルなのかも知れない。Westが抜けたことは正直ショックであるが、Boalsの声を聴くと、この作品、そして今後の作品も高いクオリティの作品が生まれることだろうと想像するに難くない。
このアルバムは、最初イマイチと思った人であっても繰り返し繰り返し聴いてもらいたい。このアルバムの音作りは実に緻密であり、一度聴いただけでは情報量が多すぎ、慌ただしく感じてしまうことだろう。それ故、疲れることもあるかも知れない。しかし、脳が音を分解できるようになるにつれて、このアルバムは素晴らしいものになっていく。それはある種、Devin TownsendやBlind Guardianの曲のようだ。
繰り返し聴くことに耐えるアルバムは、傑作だ。俺はそう思う。
2008/02/06
capsule // FLASH BACK
昨年末発売のcapsuleの最新作『FLASH BACK』について。
このアルバムに関して最初に言っておけば、capsuleファンであっても好き嫌いの分かれるアルバムだと思う。
1. construction
2. FLASH BACK
3. Eternity
4. You are the reason
5. Love Me
6. I'm Feeling You
7. MUSiXXX
8. Get down
9. Electric light Moon light
中田ヤスタカと言えばこのところは非常に注目されているアーティストで、PerfumeのプロデュースやCOLTEMONIKHAというユニット、m-flo loves MINMIのリミックスなど、とにかく幅広く活動していることで知られている。その中でcapsuleはメインユニットだと言って間違いないだろう。
capsuleはやや実験的な音作りをするユニットであるとも言える。以前はピコピコサウンドにも近いキュートなテクノポップであったが、Sugarless GiRLではハードテクノ、トランスにも似た太いベースを多用した音作りを披露し、capsule rmxではクラブサウンドとも言うべきグルーヴ重視の昂揚感が高い音作りを行っている。
前置きが随分長くなったが、本作の音作りもその傾向から外れていない"爆音で聴くようなクラブサウンド"だ。加えて、テクノらしさ、繰り返しの妙も今作が最も強いように思う。それに加え、本作では"古臭さ"が顔を覗かせている。このアルバムを聴いていると80年代のテクノ、"ディスコ"といった単語を思い浮かべてしまう。これがタイトルの意味なのだろうか?とにかく、昔のアルバムが好きなファンには受け入れられないだろうなー なんて心配をしてしまう音楽だ。
このアルバムを聴いているとdaft punkを彷彿させることも多い。考えてみれば、共通点も多いのだ。ヴォーカルへの多量のエフェクト、パンク的なディストーション、メロディよりリフを重視する曲作り、音から漂う懐かしい感触。この音作りをするようになったのはここ数作なので、昔からのファンが苦手とするのも納得はいく。正直、このアルバムはメロディを重視しているとは言い難く、ポップが好きな人には寂しい作品である。キラーチューンといえる曲も無いと言って良いだろう。
このような理由から、昔からのファンでも苦手な人は苦手なアルバムなのだ。
ただ、このような音楽もライヴで聴けば印象が様変わりする。僕はこのアルバムのリリースパーティと称するライブに行ってきたが、そこで映えるのは、やはりこのアルバムのようなクラブサウンドなのだ。テクノパンク的なディストーションサウンドがフロアを揺らし、リスナを一気に昂揚させてしまう。これはポップな音楽ではなかなかできない芸当だ。大音量でこのアルバムを聴けば、脳髄を揺らす昂揚感を味わうことが出来る。それはグイグイとベースのグルーヴで引っ張るこのアルバムのような作りの音楽ならではの体験だ。
私見ではあるが、中田ヤスタカはそれぞれのユニットを差別化しているのだろうと考えている。ライヴ向きのクラブサウンドのcapsule、キュートなテクノポップのCOLTEMONICHA、歌を重視するPerfume、といった具合に。ただ、このような見解さえも次のアルバムで打ち壊してしまうような予感がするのが、capsuleの面白さだと思う。
正直に言えば、『L.D.K.』や『FRUITS CLiPPER』が好きな人がこのアルバムを買ってもがっかりすると思う。このアルバムの音楽は、そういった方向のものではない。しかし、近年のcapsuleの作品や、テクノが好きな人にはお勧めしておきたい。また、中田ヤスタカが好きであるならば、世界観を広げるという意味で良いアルバムだ。
最後に、このアルバムを買って、求めていた音と違ったと感じた人に、繰り返し何度も聴くことをお勧めしておく。良いアルバムは、何度も聴くことに耐え、そして聴き込むほどに新発見をもたらしてくれる。そして、昔からのファンにはこのアルバムの中でも「Eternity」をお勧めしておく。この曲は今のcapsuleと昔のcapsuleの良さを併せ持つ一曲だ。
2008/01/25
(発売前情報) Acid Black Cherry // BLACK LIST
Janne Da ArcのヴォーカルyasuのソロプロジェクトAcid Black Cherryの1stアルバムの発売前情報。発売日は2008/02/20。オフィシャルはこちら。
シングル4連続リリースだったので、いいかげんアルバム出してよー って思っていた矢先の発表。Janne Da Arcも活動休止して久しいので待ち侘びた感がある。今回はCD+DVD(A)、CD+DVD(B)、CDのみの3種類がリリースされる予定。DVDのAとBの違いは、AはシングルのPV集、Bはライブの映像ということらしい。シングルを購入している人はBを買ってねって事だね。ちなみに、PVはけっこう見応えのあるものに仕上がっているので、シングルを買っていない人はAを買うのも手かもしれない。CDとPVで演奏しているメンバが違うしね。
なお、先ほどのリンクを辿るとわかるけれど、Amazonでは3種類ともほぼ同じ価格(約3000円)で発売することになっている。定価ではDVD付きは3600円なんだけど。Amazonは"予約商品の価格保証"と呼ばれる値上げしない約束もこの商品にはしているので、DVD付きが+61円で手に入る。だったら、DVD付きのどちらかを買うのが正解だね。でも、買うときはどちらを注文しているか、ちゃんと確認するように。
今回のアルバム収録曲は現段階では不明。クオリティも不明。この3種類売り出すという売り方もどうなんだろうと正直思うんだけど、これまでのシングルのクオリティが良いので楽しみだ。Janne Da Arcのyasuの声が好きならお勧め。
2008/01/23
COLTEMONIKHA // COLTEMONIKHA 2
capsuleやPerfumeのプロデューサ/コンポーザで有名な中田ヤスタカと、アパレルブランドmade in COLKINIKHAのデザイナの酒井景都とのプロジェクト。2作発売しているが、どちらも作風に違いがないためまとめてレビュー。
COLTEMONIKHA
1. fantastic fantasy
2. そらとぶひかり
3. communication
4. CLM
5. パーティーキャロネイド
6. Yum yum yummy
7. アリクイワルツ
COLTEMONIKHA2
1. preparation
2. ドミノ
3. darkness rabbit
4. カニモテルコ
5. sleeping girl
6. Scene Killer
7. NAMAIKI
8. NAMAIKI(extended mix)
誤解を恐れず大雑把に言ってしまえば、capsuleとヴォーカルが違うだけ。ということで、中田ヤスタカが好きなら文句なく買って良いアルバムだと先に宣言しておく。
詳しく紹介していこう。capsuleとの音楽性の違いは、強いて挙げるならcapsuleが近年クラブサウンド寄り=グルーヴを大事にする音楽になりつつあるのに対し、COLTEMONIKHAはキュートでややゴシックな音楽をやっている。これは、昔のcapsuleのアルバム『L.D.K. Lounge Designers Killer』の頃のような音楽性と言うことも出来る。(実際には、酒井の声質も相まってさらにメルヘンな音楽だが) また、Perfumeに比べれば歌が音楽を構成する率が抑えられている。つまり、近年のcapsuleの音楽が苦手な人にはちょうど良いアルバムだと言って良い。
ただ、惜しむらくはこの2枚のアルバム、"これがCOLTEMONIKHAだ"と言えるアルバムに仕上がっていないことだ。つまり、どこまでいっても中田ヤスタカの作品であり、capsuleとの明確な差異を見出すことが難しいのだ。これらのアルバムにはキラーチューンと呼べる「そらとぶひかり」「ドミノ」「NAMAIKI」といった曲が存在するが、このどれもcapsule名義であってもさして問題のないテクノポップだ。違いがあるとするなら、やはりヴォーカルの酒井の声質となるのだろうか。だからこそ、中田ヤスタカの曲が好きで買う人には安心できるアルバムに仕上がっているのだが・・・・ COLTEMONIKHAという別ユニットであるのだから、COLTEMONIKHAにしかできないアルバムを期待したい。
ともかく、前述通りcapsuleや中田ヤスタカの音楽が好きであれば、買って間違いないアルバムだ。先ほど挙げたキラーチューン3曲は本当に良い曲だ。また、酒井景都の声はcapsuleのこしじまとしこよりやや高い声で、甘い舌足らずな発音なので、そういう声質が好きなら余計にハマるのではないだろうか。
2008/01/18
L'Arc~en~Ciel // KISS
ここで紹介するまでもないメジャー中のメジャー、L'Arc~en~Cielの最新アルバムKISSについて。通算11枚目のアルバムかな。
1. SEVENTH HEAVEN
2. Pretty girl
3. MY HEART DRAWS A DREAM
4. 砂時計
5. spiral
6. ALONE EN LA VIDA
7. DAYBREAK’S BELL
8. 海辺
9. THE BLACK ROSE
10. Link -KISS Mix-
11. 雪の足跡
12. Hurry Xmas
このアルバムは非常に出来が良くて驚いている。ラルクの作品の中でも最高傑作といって差し支えないのではないだろうか。2007年に発売し、俺が聴いたアルバムの中でも、ベスト3には入るアルバムだ。そのくらいに充実し、気に入っている。
本作はテクノパンク調の「SEVENTH HEAVEN」、純粋なロックの「Pretty Girl」、壮大なバラードの「砂時計」、激しいハードロックの「THE BLACK ROSE」など、バラエティに富んだ内容となっている。多くの曲で行われているオーケストレーションも心地良く、「Link」などの音作りの妙は、既に追従するロックバンドでは辿り着けないようなレベルに到達している。また、「THE BLACK ROSE」における最初のコーラスから次のコーラスまでの間のトランペット(だよね?)との駆け引きは非常にスリリングで、この編曲を思いついたこと自体が素晴らしい。いずれにせよ、ロックとしても音楽としても完成されている感がある。
このアルバムで歌っていることは『平和』なのだろう、と想像される。タイアップ曲に関してはそのタイアップ作品に対して歌っているのか、現実の社会問題に対して歌っているのか量りかねるが、純粋に歌詞だけを聴けばとても良い歌詞ばかりだ。それがまたこのアルバムの質を高めている。
古くからのラルクファンも、近年ファンになった人も、このアルバムは気に入るだろう。
2008/01/16
(発売前) IN FLAMES // The mirror's truth
IN FLAMESのオフィシャルサイトで今春に発売の新作『A Sense Of Purpose』からのシングルカット『The mirror's truth』がアナウンスされている。日本で発売するんだかよく分からないんだが、欧州では3/7発売らしい。現状ではAmazonなどの主要ネットショップでは商品が見当たらない。
1. The Mirror's Truth
2. Eraser *
3. Tilt *
4. Abnegation *
* アルバム未収録曲
見て分かるとおり、アルバムに収録されない曲が3曲含まれている。これを日本で発売しないとしたらあまりにも残念すぎるのだが・・・
なお、アルバムは欧州で4/4発売となっている。アメリカでの人気が出てきてハリウッド映画にも使われるようになり、どうやらMelodic Deathというマニアックなカテゴリでは括れなくなってきた彼ら。ファン各々に好き嫌いこそあれ、これまでの作品は良作ばかりであり、特に前作『Come Clarity』が傑作といえる出来であったことから今回もとても期待してしまう。
この春は楽しみなアルバムが多い。
(発売前) Royal Hunt // Collision Course...Paradox2
Royal Huntから『Collision Course...Paradox2』という新作がアナウンスされている。発売日は2/20らしい。ロック界でも名盤と賞賛されているParadoxの同一コンセプトということで、非常に楽しみな一枚だ。ジャケットも公開されており、これまでのイメージと異なる壮大なアートワークに仕上がっているのが素晴らしい。
そして、凄腕ヴォーカリストだったJohn Westの後任は、これまた凄腕のMark Boalsに決定したようだ。ブレインのAndersenはヴォーカルの特徴に合わせて音楽を作ると言われている。だからこそ、交代後の1枚目は前任者の音を引きずってしまうことが心配されるが・・・(事実、West加入直後のアルバムは評価されていない) どんな音を作ってくるか、その不安も含めて楽しみにしている。
その音源が現在、Royal HuntのMySpaceで試聴可能だ。「The First Rock」という曲は、まさにRoyal Huntの真骨頂なナンバーでとてもカッコいい。途中で切れてしまうのだが、最後までどのように展開していくのか楽しみな一曲だ。そして、これを聞く限りではMark Boalsも問題なくハマっているようだ。また、音の方向性は近年のやや未来指向なものからゴシックなものへと変更され、『Paradox』や『Fear』の頃のファンの多い音作りをしている印象だ。
とにかく楽しみな一枚。

